「はぁ………。」
最近、ミレーヌさんがよそよそしい。
バサラが旅に出て1ヶ月、オレではダメなんだな。。。
「今回は行き先がわかってるって本当ですか?!」
「ああ、手紙をもらったらしくてな会いに行ってる。」
「なぜミレーヌさんにはその事を言わないんですか?」
「あ?すぐ帰って来るからなぁ、別にいいだろうと言ってないんだが。」
「……………。」
レイがミレーヌが落ち込んでいる事に気がついているのに
すぐ帰って来る事を伝えてない事に絶句した。
私が伝えなければ。
「ミレーヌさんは今どこにいますか?」
「さあなぁ。自宅にいるんじゃないか?」
「失礼します!!」
アクショのアパートを出ると、ケータイをポケットから出して
ミレーヌにかける。
出ない。
無視されてる訳ではないと思うが………。
直接行ってみるか。
ミレーヌのアパートに着く。
部屋の窓を見るとカーテンが閉まっている。
いないのか?
ピンポーン。
ベルを鳴らす。返事が無い。
「ミレーヌさん、私です。ガムリンです。」
しばらくして、ガチャッと鍵が開く。
「ガムリン…さん?」
「寝てましたか?すいません。」
「はい………。なにか?」
「お伝えしたい事が!!」
「?」
「バサラはすぐ帰って来ますから!!」
「???」
ミレーヌの顔がピンと来ない表情をしている。
「?あれ?知ってましたか?」
「ええ…ビヒーダから聞きました。」
「あ、あはは、そ、そうですか。それは失礼しました。」
「……ガムリンさん……。」
「はい?!」
「いえ………なんでもないです。わざわざ教えてくださって
ありがとうございました。」
「いえいいえ!!寝てる所を起こしてしまってスイマセンでした。」
パタンとドアが閉まる。
「はーーーーーーー。」
長い息が漏れる。
そうか、知ってたのか。なら良いんだ。
汗が出て来る。焦った。
ん?良いのか???いや、知ってて暗いのはマズいだろう。
なにか別の理由があるのか?
なんだろう???
わからん。。。。
わからん時は、振り出しに戻る事だな。
レイにもう一度話を聞きに行くか。
アクショのアパートに着く。
レイは………居ない。
ガクリ。。。
どうしよう。手がかりが無くなってしまった。
バサラの部屋のドアが目に入る。
「居ないよな。。。」
コンコンと叩いてみる。
返事は無い。
半ドアだったのか、ギギッとドアが開く。
「バサラ〜〜〜。居ないよな…………。」
中を覗くように体を半分入れて声をかける。
「なにやってんの?」
「わ!!!!!」
後ろかバサラに声をかけられる。
心臓が口から飛び出しそうになる。
「か、かかかかかっ勝手に入ろうとした訳では!!!」
「あ?別に入ってもいいけど。」
「え?」
「盗るもんもなんもないからな。」
「と、盗らない!!!」
「プッ、わかってるよ。」
焦ってるオレを見てバサラが笑う。
機嫌は良いみたいだ。
「椅子無いけど、適当に座ってくれ。」
バサラがコーヒーを淹れてくれた。
1階のキッチンの脇にテーブルがあるが椅子は無い。
立ったままコーヒーを飲もうとすると
バサラが椅子をレイの部屋から持って来てくれた。
「座れよ。」
「ああ、ありがとう。」
バサラは箱の上に座るとコーヒーを一口啜る。
「で?なに?」
「あ、え?」
「なんか用があったんじゃねーの?」
「ああ、う………。」
言いにくい。ミレーヌさんの事を言うのが言いにくい。
「???」
「手紙の相手に会いに行ったんだって?」
話を逸らしてしまった。。。
「ああ。」
「どこまで行ったんだ?」
「キードラっていう星。」
「キードラ?確かゾラの近くだったか。」
「良い所なんだ。」
「へぇ。ゾラは良い星だったが、キードラも良いのか。」
「ああ、風が気持ち良い。」
「行ってみたいな。」
ニッとバサラの口が笑う。
「追いかけてくれば良かったのに。」
「え?」
「ゾラん時は来ただろ?」
「あ、ああ。行こうと思ったんだがな。」
「…………。」
ジッとバサラが見ている。
「ミレーヌか?」
「………あ、ああ。お前が居ないと彼女が辛そうで。」
言ってしまった。
「ほっときゃいいんだ。」
「そうはいかない。」
「オレにはその気はねーよ。」
「え、、、ええ??!」
「ミレーヌは妹みたいなもんっていうか、そういうんじゃねーよ。」
「でも彼女は。。。」
「めんどくせぇな。」
「そんな言い方はないだろう!!」
「お前、好きなんだろ、しっかりしろよ。」
「え。」
「キスでもなんでもして、その気にさせちまえば?」
「そんな事出来るか!!!彼女の気持ちがなければダメだ!!!」
「真面目だな。そこが良いとこなんだがな。」
ズズッとコーヒーを飲むバサラ。
「で、オレにどうして欲しいの?」
「………。」
バサラにその気がない事を知ったらミレーヌは増々落ち込むと思われ。
でもバサラへの想いが断ち切れれば自分に向いてくれる可能性が。
ある。。。。はず。
「もっとミレーヌさんに優しくできないのか?」
「は?勘違いされんだろ。めんどくせぇ。」
「グッ……。」
何も言えない。。。
「バサラ、帰ったのか?」
「ああ、ただいま。」
レイがドアを開け声をかける。
「彼女どうだった?」
「なかなかいい感じだぜ。」
「そうか。」
彼女?
「え?!!!彼女って女の人に会いに行ってたのか?!」
「あ?そうだけど。」
ミレーヌさんの落ち込んでる理由がわかった気がする。
レイが伝えなかったのも今ならわかる。
そういう事か。
「お前も勘違い野郎だとめんどくせぇから言うけど、そーいうんじゃないから。」
「???!」
「曲の提供を頼まれてな。バサラが会ってみないとどうにもならんと
言って会いに行ったんだ。」
レイが付け加える。
「そ、そうなのか。」
どう伝わったのか、謎だが、バサラが女性に曲を提供する事が
ミレーヌさん的には辛かったんだろうか?
う〜〜〜ん、わからん。女心というものは難しいらしいからな。。。。
私にはわからん。
「デモが出来たら、オレのデスクの上に置いておいてくれ。」
「わかった。」
さてと、と箱から立ち上がるバサラ。
「オレ、曲作るけど。」
「あ、ああ。」
「ミレーヌはほっとけば?」
「う、うう。う〜ん。」
「甘いものでも食わせれば機嫌治るんじゃね?」
「!!」
それは、良いアイディアだ。
誘ってみよう。
「すまなかったな。」
「?」
バサラは一瞬不思議そうな顔をしたが、すぐニッコリと笑い
「もっと自信持てよ。オレだったらお前の事好きになるぜ。」
と、言いはしごを上った。
「え………。」
顔が赤くなるのがわかる。バサラに好かれるのか?
不思議だが嬉しい。
これがバサラの告白だとは気がつかないオレなのであった。
終わり。
自分、バサガムミレバサなんだな。
なんか片想いが交錯してるのが好きかも。