「腹減ったな。」
「木の実だけでは、腹の足しにならんな。」
ある惑星の森の中。
腹を減らした男二人、食べ物を探して歩いていた。
ガサッと、草むらで物音がする。
視線を向ける二人。
「イノシシか?!」
「そのようだな…。」
棒を構えるバサラと、レーザー銃を構えるガムリン。
「バサラ、これはオレの仕事だ。」
「え?」
「お前は、歌でも歌っていろ。」
「逃がすなよ。」
「ああ。」
ガムリンは、たとえ補食の為とはいえ
バサラが動物を殺す所を見たくはなかった。
ガムリンの真剣な声に、バサラは何かを感じ全てを任せた。
ガムリンのレーザー銃が光を放つ。
イノシシは、急所をつかれ声も立てずに倒れた。
バサラが歌いだす。イノシシへの鎮魂歌。
「雄か。良かった。この気候と森の具合からして春だ。
子育てでもしていたら大変だ。」
「お前、禿げるぞ。」
「なっ!!」
慌てて額を押さえるガムリン。
「まぁ、そんな所も気に入ってるんだけどな。」
「は?」
「気、使いすぎんなよ!」
イノシシを担ぐバサラ。
「重てぇ。」
「二人で運ぼう。」
イノシシを森から運ぶ二人。
「オレがイノシシを捌く。お前は、薪を集めてくれ。」
「りょーかい。」
ナイフを取り出すガムリン。
バサラは森の中に消えて行く。
ガムリンがイノシシを捌き追えた頃、バサラが戻ってくる。
「すげぇ量だな。」
「大きな雄だったからな。余った肉は、森に戻そう。」
「じゃ、オレが撒いてくるぜ。火起こしはお前の仕事だからな。」
「ああ。薪が少し足りないかもしれない、帰りに拾って来てくれ。」
「わかった。」
旅をしている中で、二人は役割を決めていた。
水汲みは、鼻の利くバサラ。火起こしは、レンジャー経験があるガムリン。
獲物を捕らえて食べるのは、今日が初めてだった。
旅費が尽き、レイから送られてくるのを待つ間、キャンプをすることに。
今までは、食料を買っていたが、長い旅を続けるとそうもいかない。
自給自足が出来る時は、する事に決めたのだ。
肉の焼ける匂いが立ちこめる。
ぐぅ~と、バサラの腹の虫が鳴く。
「硬いかもしれないが。」
焼けた肉を一切れ、バサラに渡すガムリン。
受け取るとすぐにかぶりつく。
「うめぇ!!」
「久しぶりの肉だな。」
食べやすい様に、バサラに肉を切り分けてやるガムリン。
「お前も食えよ。」
「ああ。」
切り分けては、バサラを眺めているガムリンにバサラが言う。
ガムリンは、バサラが食べている姿を見るのが好きだった。
実に旨そうに食べるのだ。
「お前が作った飯、なんでも旨いな!」
「ふふ。口に合って良かった。」
旅のはじめ、バサラは食事をそんなに取らなかった。
パンならパンだけ、サラダならサラダだけと、偏った食事をしていたのだ。
体に悪いと、ガムリンは工夫した。
パンには切れ目を入れて、サラダを入れサンドイッチを作って食べさせた。
すると、バサラの食べる量が増えたのだ。
「すげぇ腹一杯。」
満足そうに、膨らんだ腹をさすりながらバサラが言う。
「よく食べたな。」
「お前はあんまり食ってなかったな。」
「太るからな。」
「は?」
「パイロットスーツが入らなくなると困る。」
「歌えば、太らねぇよ。」
「お前の様には歌えない。」
「そうか?」
「そうだ。」
バサラは全身で歌う。偏食していた頃、どんどん痩せていったバサラが
心配だった。
今は、歌に見合うくらい食べる様になったので安心した。
「今日はどうやって寝る?」
「そうだな、、、肉の匂いがした場所で寝るのは危険だ。
少し離れた、開けた場所に飛んで寝るとするか。」
火を消すと二人はバルキリーに乗り込み、寝る場所を探す。
「湖の所に、小屋があるぞ。」
「ああ、ホントだ。では、あそこにしよう。」
「久しぶりに、足伸ばして寝られるぜ。」
旅費が尽きてから、バルキリーの中で寝るのが当たり前になっていた。
宇宙で寝る分には、狭くても重力がないため辛くはない。
だが、むくみがヒドくなる。
ガムリンのパイロットスーツがキツくなったのもむくみのせいかもしれない。
「少し掃除をしないと寝れそうにないな。」
「テーブルの上に寝りゃいいんじゃねーの?」
「寝袋2つは無理だろう。」
「一つでいいじゃねぇか。」
小屋の中には、長いテーブルが一つだけあった。
床は、どこから入ったのか、落ち葉だらけになっていた。
日が落ちると、肌寒くなり、バサラが身震いする。
「寒ぅ。」
「パイロットスーツを脱ぐと寒いな。」
「早く寝ようぜ。」
「う、う~ん。」
「なんだよ?」
「変な所触るなよ。」
「あ?触って欲しいのか?」
先に寝袋に入ったバサラがイタズラっぽく言う。
恐る恐る、ガムリンが寝袋に入る。
「チャック半分しか上がんねぇな。もっとくっつけよ。」
バサラの胸に顔を埋める様にくっつくガムリン。
「狭くないか。」
「ちょうどいいんじゃねぇの。温けぇし。」
もぞもぞとバサラの手がガムリンの背中に回される。
「それ以上下に手をやったら怒るからな。」
「ははは。なんにもしねーよ。」
旅のはじめ、テンションの上がったバサラはガムリンに手を出していた。
バサラのあまりの情熱に、ガムリンは絆されてしまったのだった。
事の後、二人はお互いの気持ちを知る事になる。
バサラは、出会った時から気になっていたと言い、
ガムリンは、知らぬうちに気持ちが傾いていたと伝えた。
「なぁ、ガムリン。」
「んん?」
「愛してるぜ!」
「は?!」
チュッと、おでこにキスをする。
「おやすみ。」
「なっ。。。」
バサラの体から力が抜ける。
ガムリンは何かを言いかけたがやめた。
目を瞑り、バサラの体温を感じる。暖かい。
バサラの胸から鼓動が伝わる。
トクントクンと聴いてる内に、ガムリンも眠りに落ちた。
おわり。
小説っぽく書いてみた。けど、
いつものメモ程度のネタ帳に書くのと同じ感じになってますな。
まぁ、いいか!
両想いが書けて良かった!!旅の話も書けて良かった!!!!