まあいっか

鉄拳/ラス仁・花仁・真仁 呪術/五夏 主に思ったことを書く

レイガム。ドライブ

久しぶりの休日を持て余していたガムリンは

アクショへ行ってみる事にした。

「やあ、大尉殿。」

「こんにちは、レイさん。バサラは居ますか?」

「あーわからんなぁ、たぶん居るんじゃないか。」

階段の入り口でレイと出くわす。挨拶を交わしバサラの部屋へと

階段を登った。

「バサラ、居るか?」

トントンとドアを叩き、呼びかける。

返事が無い。

寝ているのか。

起こすのも悪いと思い、諦める。

階段を下りると、まだレイが居た。

「いましたか?」

「返事は無かったです。」

「寝てるんなら起こしても構いませんよ。」

「いや、それほどの用でもないので。」

「そうか。」

ガムリンがしょんぼり帰ろうかとしている後ろ姿に

レイが声をかける。

「あの、もしよければドライブでもどうです?」

「え?」

「バイクがあればツーリングなんてのもいいんだが

 あいにくバイクがないからなぁ。車でよければ。」

「ああ、はい。これといってする事もなくて困っていたので

 助かります。」

「ははは、そうか。じゃぁ、行きますか。」

車に乗り込む二人。

道中、軍の事を話したり、バサラの事を話したり、色々話しているうちに

目的地に着いた。

リビエラですか。」

「ライブの予定があるので下見に。」

「そうですか。」

開店前のライブハウス。

明るい店内で

レイはライブハウスのマスターと話している。

手持ちぶたさなガムリンは、周りの張り紙を眺める事にした。

熱気バサラの文字をみつける。

「へぇ、一人でライブしに来た事があるのか。」

「大尉、終りました。」

「ああ、はい。」

「腹が空きませんか?」

「そうですね。空きました。」

「じゃ、行きつけの定食屋に行きますか。」

「定食屋?」

「ああ、大尉殿の様な方は行きませんよね。」

「あまり宿泊地以外の所で食事をする事が無いので。

 リビエラには結構来てるんですが。」

「海の側なんですが、結構いけるんですよ。」

「楽しみです。」

海の側の空き地の様な所に、リビエラにしては珍しい

トタン造りの建物がある。

潮風に当っているせいか、所々錆びている。

「ココですか?」

「はい。あまり綺麗な所ではないですが、旨いですよ。」

こんちわ〜と、戸を開けて中に入るレイ。

続いて入るガムリン。

奥から日に焼けた男が出てくる。

「いらっしゃい、おお、久しぶりだねレイさん。」

「久しぶり、いつものを2つ頼むよ。」

「了解。今日は釣ってないのかい?」

「今日は仕事だったんだ。これから少し行こうかと思ってる。」

「今日は潮目がいいから、なんか釣れるよ。」

「そうか。楽しみだな。」

席に着くと、勝手知ったるレイはお茶を入れ始める。

「どうぞ。」

「どうも。」

「彼も、軍人だったんですよ。」

「え、そうなんですか。」

「退役して、ここに店を構えたんです。」

「へぇ、いいなぁ。」

「大尉も、退役したらなにかしたい事でもあるんですか?」

「そうだなぁ。。。う〜ん、、、なにも浮かびませんね。」

「まぁ、まだ若いですから、これからなにかやりたい事の

 一つでもみつかりますよ。きっと。」

やりたい事。なんだろう?と考え込むガムリン。

バサラにコーヒーを淹れてやった時に、喫茶店やればとは

言われたが、本が読める喫茶店なんていいかもしれないなと

思う。蔵書が多いから、店に置いたらいいかもしれない。

でも、バサラはつまらないかもしれないな。

歌が歌えないから。本を読んでる側で、バサラの歌は厳しいと

思われ。バラードでも、本に集中してる客に歌うのは

バサラ的に面白くないんじゃないかと思う。

そうこう考えてるうちに料理が運ばれてくる。

「お待ちどう。」

刺身に煮魚、サザエのつぼ焼きにご飯とみそ汁とお新香がついてる

なんとも豪華な定食が運ばれて来た。

「うわぁ。日本料理ですね。」

「ははは、ザ、日本かもしれませんね。大衆的な。」

「刺身、こんな新鮮そうなの初めて食べます。」

「良かった、喜んでもらえて。」

頂きますと箸を掴むと、熱々のつぼ焼きに手を伸ばす。

が、食べ方がわからない。

レイを見ると、箸を1本貝に差し込んで器用に身を取り出している。

「ん?ああ、とり方がわからないか。」

じっとみつめているガムリンに気がつくとレイが手を出す。

「取りましょうか?」

「自分でやってみたいです。」

「そうですか。じゃあ、箸を一本、ココに…。」

「こうですか?」

「そうそう。そのままぐっと中に押し込んで…。」

「えいっ。ああ、刺さりました。」

「そこから、捻る様に上に巻き上げていくと…。」

「おお、取れました。わぁ、肝ですか?これ。」

「苦いですけど旨いですよ。」

肝にかぶりつくガムリン。

「う〜ん、磯の香りがなんともいえませんね。」

「他の料理も冷めないうちにどうぞ。」

「はい。」

ガムリンの食事を微笑ましそうに眺めるレイ。

バサラと違って、なんと優雅な事か。

バサラにも、一応テーブルマナー的な事は教えたが

分かったのか分からなかったのかいまいちわからない。

食べ方が汚い訳ではないので、それほど怒りもしなかったが

ガムリンと比べてしまうと、もっときちんと教えるべきだったか

と思ってしまう。

「ごちそうさまでした。」

「へぇ、綺麗に食べてくれたなぁ。」

嬉しそうな店主。

「今時のヤツは、魚の食べ方も知らねえでやれやれと思っていたが

 やっぱりレイの連れは違うねぇ。」

「ははは。」

嬉しそうなレイ。

嬉しそうな二人を見て、ガムリンも嬉しくなった。

店をあとにする二人。

レイが、お伺いを立てて来た。

「これから釣りを少ししようかと思うんだが、どうですかね。」

「釣りですか。いいですね。でも道具がないです。」

「ああ、私のを貸しますよ。たくさんありますから。」

「レイさんは、釣りが趣味なんですか?」

「ええ、ほんとどうしようもないくらい好きなんですよ。」

「シティには、釣りが出来そうな所がないですよね。」

「公園は釣り禁止なんで、ココまで来ないとなかなか出来ない

 んですよね。今日は日和もいいみたいだからなんかそわそわ

 してしまって。」

「ふふふ。じゃあお付き合いしますよ。釣りはサバイバル訓練以来です。」

「懐かしいなぁ。釣り竿も自作なんですよね。」

「はい。釣り針も自作しました。」

「釣果は?」

「夕飯に困らないくらいは連れましたね。」

「それはそれは。」

「レイさんは、どうでした?」

「雑念が多かったのか、ぜんぜん魚が寄ってこなくてね、晩飯は

 悲惨なものでしたよ。ははは。」

岩場に到着。

「この下あたりがよさそうだな。」

「じゃあ、私はここで。」

少し離れて釣りを始める二人。

しだいに眠くなるガムリン。

「いかん、疲れが出たのか眠い。。。」

うとうとしていると。

「ん?引いてる。大尉殿引いてますよ。」

レイの声。遠くに聴こえる。

「ああ、いかんなこれは。」

駆け寄るレイ。竿を持つと引き上げる。

鯵らしき魚がぴちぴちと跳ねる。

魚をクーラーボックスに投げ入れると、

ガムリンを抱きかかえるレイ。

すっかり寝てしまっているガムリンを車へと運ぶ。

座席をリクライニングさせ、寝かす。

窓を半分開けて、ドアを閉めるとまた釣り場へと戻るレイ。

ガムリンの夢の中。

バサラの歌に合わせて、魚達が踊っている。

それをレイが釣り竿で釣っている。

バサラが怒る。

まぁ、そう怒るなとバサラをなだめようとした所で

目が覚める。

「んん?はっ?!寝てしまった!!」

慌てて起きるガムリン。

「疲れてたんですね。連れ回して悪かったかな。」

レイは、帰り道を走っていた。

「すいません、釣りしていたのに。。。」

「大尉が寝ている間に、結構釣れましたよ。

 帰ったら捌きますから、少し持って帰られたらどうです?」

「すいません、車まで運んでくださったんですね。」

「どうって事ないですよ。バサラをよく運びましたから。」

「バサラも?」

「はい。よく運びましたよ。出先で疲れてしまって倒れる様に

 寝てしまったりして。」

「そうなんですか。」

ガムリンは、全力で歌うバサラの姿を思い浮かべた。

が、レイは、バルキリーの操縦訓練を受けて疲れきったバサラを

思い浮かべていた。

アクショに到着。

「ありがとうございました。」

ガムリンが頭を下げる。

「ん?いや、そんな。一人で出かけると味気ないですが

 今日は、二人だったので楽しかったですよ。」

「私も、楽しかったです。」

「それは良かった。」

「また、ご一緒してもいいですか?」

「ん?ええ、いいですよ。また行きましょう。」

ガムリンは、父の事を思い出していた。

父とこんな風に過ごす事が夢だったような。

ちょっぴりおセンチな気持ちになる。

レイの大きな手が、頭を撫でる。

「え?」

「ああ、すいません、つい。」

寂しそうな顔しているガムリンに気がついて

つい、手を伸ばしてしまったレイ。

バサラも時折同じ様な顔をしたのを思い出す。

そんな時は決まって頭を撫でていた。

「私には…。」

「?」

「父が居ないのですが、今日は父と過ごせた様な気がして。」

「…また時間があったら、行きますか。釣り。」

「はい。今度は、眠らない様にします。」

はははと、笑いながら階段を登るとバサラが出てくる。

「なんだ、楽しそうじゃねーか。」

「おはよう、バサラ。」

ガムリンが言う。

「あ?なんだ、1回来たのか?」

「まぁな。」

「バサラ、今日の晩飯、魚だが喰うか?」

「お!釣りに行ってたのか?」

「お前の好きな、脂ののったヤツが釣れたぞ。」

やった!と喜ぶバサラ。

なんとなくそんな二人を羨ましく思えたガムリンなのであった。

なんか中途半端だけど、終わり。

ガムリンとレイの二人だけの1日が書きたかったんだ。

レイとバサラとガムリンの三角関係も可愛くていいかも。

エッチは無しで。普通の話で。